こらしめ屋


「ふざけんな!」



緩めたロープを再びきつく引く。



「他人だからって殺していい筈ない!人の命は、他人が手を出していいものじゃない!無理やり終わらされた命のことを考えろ!どんだけ自己中なんだ!」


「…っ…や…めろ!」


「あんたが殺した人達も、そんな風に苦しんだんだよ!?同じ苦しみで反省しな。」



そう言って、あたしはロープに力を込めて一気に引いた。



「…っうぐ!?」



これまで以上に苦しそうな表情を見せた宮武は、喉を押さえて酸素を求めるような仕草をした。

そんな宮武を、あたしはやっぱり可笑しく思ったけど、さっきの発言にキレた頭が、笑うことはせず冷ややかな視線を送るように指示している。



「2度も同じ手に引っ掛かるなんて、思っていたよりマヌケだね。」



冷たく言うと、宮武はハッとして、押さえていた手を離し、喉の回りをペタペタと触る。

そこに巻き付いている筈のロープを探して…



だけど、そこにロープはなかった。

なぜなら、現在進行形であたしが持っているからだ。



< 182 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop