こらしめ屋
うっすらと重いまぶたを開けてみた。
焦点が定まらなくて、ぼやけている視界。
「は、春花…!?」
呼ばれた名前。
あたしは一度ゆっくりと瞬きをして、目だけで声の主を探した。
「…う…み?」
しばらくして、やっと見えたのは、たくさんの涙で頬を濡らしている海だった。
そっか。
頬の冷たい感触は、海の涙だったんだ。
「…っ…よ、よかっ…た。は、春花ぁ!」
あたしは、なんで海が泣いてるのかわからなくて、慰めようと体を動かそうとした時だった。
「…っ!!?」
脇腹に走る激痛。
その痛みで思い出した、宮武との闘い。
「…っ…春花!う、動いちゃダメだよ!じっとしてて。今、みんなを呼んで来るから!」
海はそう言うと、パタパタと去って行った。
あたしはキョロキョロと目を動かして、辺りを見る。
真っ白な天井と、真っ白なシーツ。
ここは、病院みたい。
少しずつだけど、状況が飲み込めてきた。