こらしめ屋
今まで、こらしめ屋をまだ続けるつもりか、なんてきかれたことはなかった。
それに、どちらかといえば賛成してくれていたような気さえするのに。
マスターはゆっくりと、言葉を噛み締めるように話し出した。
「今回のことでね、実感が湧いたと言うか…、恐怖を身近に感じたと言うか…。危険な仕事だとわかっていたんだが…ね。」
マスターの言いたいことは、なんとなくわかった。
「続ければ、またこんな風に怪我をしてしまうかもしれない。春花ちゃんが傷つくのは、見たくないんだよ…。」
マスターの瞳が、心配そうに揺れている。
その気持ちは嬉しい。
だけど…
「ごめんね、マスター。こらしめ屋をやめる気はないんだ。ううん。あたしの目的が達成するまで、やめちゃいけないの。」
「…そうか。春花ちゃんが決めたことなら、反対はしないよ。だけど、無理はしないでおくれよ。」
「うん。ありがとう、マスター。」
あたしが笑顔をつくると、マスターもほっこりと笑った。