こらしめ屋
「だって……」
あたしは、そこで言葉を濁した。
だって、大切なみんなを巻き込んで、もしものことがあったらと考えると怖くて堪らないから、なんて恥ずかしくて言えない。
そう思って、目を泳がせていると、渉が、
「みんなを思ってのことなんです。」
と、言った。
そうだ。
渉は知ってるんだった。
データの整理を手伝ってもらった時に…
「どういうことだよ?」
和樹は、あたしから渉に視線を移す。
「だから……」
「うわー!ちょっと待った!恥ずかしいから、言わないで?」
渉が説明しだしたのを、急いで止めに入った。
だけど、和樹に、
「春花、ちょっと黙ってろ。」
と、睨みつきで言われたので、
「う…。はい。」
と、素直に返事をするしかなかった。
あたしが静かになると、渉は話を続けた。
「だから、春花は、みんなを巻き込んで、危険な目に遭わせたくないんです。失うのが怖いほどに、とても大切な仲間だから…。」