こらしめ屋





7年振りに、この道を歩いた。

綾瀬家へと続く道。


いつも通る商店街のような道ではなくて、静かな高級住宅街。

その静けさを久しぶりに感じ、懐かしく思いつつも、頭のどこかで商店街の賑やかな声を聞きたくなった。



道は今でもよく覚えているけれど、なんとなく四季の後ろを歩いた。


家に近づくにつれて、心臓の音が速くなる。

暑いせいもあるけど、緊張して喉はカラカラだ。




そして、遂に綾瀬家の門まで来た。


四季が玄関ベルを鳴らすと、使用人が直ぐに対応した。



「はい。どちら様でしょうか?」



インターホン越しにたずねる使用人の声。



「四季だよ。今 帰った。」



しかし、使用人は厳しく問い詰めた。



「失礼ですが、後ろのお連れ様は?」



そういえば、正門には監視カメラがついてるんだっけ。


四季は名前を出していいか、目で問い掛けてきた。

あたしは、こっくりと頷く。



「姉の春花だ。」



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