こらしめ屋


四季がはっきりそう言うと、インターホン越しでもわかる程に、使用人がハッとして息を呑んだ。


少し経った後に、ようやく、



「少々お待ち下さい。」



と言い、慌てて報告をしに行ったようなパタパタという足音が微かに聞こえた。



追い返されたらどうしよう…



そう思ったけど、その心配は無用だった。


しばらくすると、



「お待たせ致しました。中へどうぞ。」



と言う声がして、正門が開いた。



「良かった…。入れてくれないかと思った。」



あたしがホッと胸を撫で下ろすと、四季が、



「それはないよ。実の娘が来たのに追い返すなんてしたら、ご近所になんて言われるか…。それに、両親も春花に話したいことがあると思うし。」



と答えた。


両親があたしに話したいこと?

あたしが両親に話したいことじゃなくて?


だけど、そう言った四季の顔は、なんだか悲しげだった。

きっと、良い話じゃないんだ。


覚悟はした筈なのに、もう胸が痛い。


しっかりしなきゃ!



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