こらしめ屋
「よく生きていたな。」
父親の声は抑揚もなく発せられて、感情が読み取れない。
バカにしてるの?
それとも、本気で褒めてるつもり?
「まあね。」
あたしが短く返すと、父親は生意気な子どもでも見下すような目であたしを見据える。
「今はどこに住んでいるんだ?公園か?それとも庶民のボロ家にでも住みついてるのか?」
こいつ、完璧にバカにしてる!
頭にきたあたしは、わざとらしく声を大きくする。
「お陰様で、高級コーヒー豆の匂い香しい、アンティーク調の家に住んでるよ。」
7年間でずいぶんと達者になったあたしの口。
嘘は言ってない。
嘘は…
「ふん。子供のくせに生意気な口だ。」
汚らしいものでも見るかのような目つきだ。
ムカつく!
あたしが何か言い返そうとした瞬間、四季が口を挟んできた。
「失礼ですが、父上。今日はこのような会話をする為に、姉を家へと招き入れたのではないでしょう?早く本題に入ってはいかがです?」