こらしめ屋
「どうもなにも、そのままの意味よ?私とあなたはもう家族ではない。そうそう、もう母だ父だと呼ぶのはお止めなさいね。」
「だから!そうじゃなくて…」
「その真意が知りたいというの?」
あたしはコクリと深く頷いた。
「簡単なことよ。あなたを置いて渡米したあの日、あなたは死んだことになっているのよ。」
「えっ…?」
「少しお金を積んだだけで、偽装した死亡届を受け入れてくれたわ。アメリカに引っ越すことで、真実をうやむやにすることも簡単だった。」
信じられない…
あたし…死んだことになってるの?
そんな…
こんな簡単に人を消してもいいと思ってるの?
生きてる人の存在を消してもいいの?
「うそ…。ありえない…。こんなの…こんなの、人殺しと一緒だよ!」
思わず叫ぶと、綾瀬文子は眉をピクリと動かして、不快そうに言った。
「人殺し?何を言っているの?私はただ届を書いただけよ?それが殺人ですって?笑わせないで頂戴。」