こらしめ屋
「…で、どうだったんだ?」
和樹が珍しく遠慮がちに言う。
その言葉はあたしに現実を思い出させて、胸がズキッと痛んだ。
笑えているかわからないけど、無理やりに笑顔を作ってこう言った。
「……ダメだった。家族の縁…切られちゃってて。あたし…死んだことになってるんだって。意味わかんないよね!はは…」
「…なっ!?どういうことだよ、それ!」
「言葉の通りだよ。ほんと、知れば知るほど、辛い現実ばかり見える…」
やばい。
思い出したら、また涙が出そう。
涙は誰にも見せないって決めてるのに。
あたしは弱いところを誰かに見せたくない。
もちろん親友にも。
だって、心配かけちゃうじゃん。
あたしのせいで大切な人が悩んだり、悲しい思いをしたりするのは嫌だ。
知ってる?
悲しみや苦しみの負の感情は、伝染するんだよ?
みんなには、いつも笑っていてほしい。
だから…