こらしめ屋
「四季、ありがとう。」
あたしがそう言うと、四季はきょとんとする。
「一人は嫌だもんね。辛いもんね。」
あたしも、そうだった。
四季も、きっとそうだったんだろう。
「あたし達、血は繋がってないけど、四季のこと大切な弟だって思ってるよ。」
「……!春花…!」
四季は一瞬だけ驚いた顔をすると、すぐに泣き出しそうな表情になった。
「あたしにとっては、四季が唯一の家族だからね?ほら、両親には縁切られちゃってるし。だから、四季を嫌いになんてならないし、なれないよ。」
「春花…ありがとう。ありがとう!」
四季は何度もありがとうと言いながら、再びあたしに抱き着いて、しばらくの間、離れてはくれなかった。
四季…
ありがとう。
あたしも四季も、同じだったんだね。
両親に振り回された被害者。
いっぱい傷ついたね。
でも、一人じゃないってわかったから。
この気持ち、あたしだけが感じていたんじゃないってわかったから。
もっと強くなれそうだよ。