こらしめ屋


あたしがじっとり睨んでも、夏柑は素知らぬ顔で笑い続けていた。


ひとしきりあたしをからかうと、夏柑は思い出したように言った。



「そういや、春花。ここ来る前に誰かと一緒だったのか?」


「へ?あぁ、四季と一緒だったよ。」


「四季って、確か綾瀬家の養子か?」


「そう。それでね、いいことあったんだよ。だから夏柑に聞いてほしくって…。って何してんの!?」



いつの間に再び近づいたのか、夏柑はあたしの服の匂いを嗅いでいた。



「男もんの香水の匂いすんだけど?」


「あっ、たぶん四季に抱き着かれたから…」


「……。」



あれ?

急に黙っちゃった?



「どしたの、夏柑?」



顔をぐっと覗き込むと、いきなり腕を捕まれて…


グイッと腕を引かれて、バランスを崩したあたしは、必然的に夏柑の方に倒れる。



そして…



頬っぺたに柔らかい感触。




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