こらしめ屋
「もーう!これ以上話をややこしくしないでよ!!」
遂に爆発したあたしがそう叫ぶと、夏柑が勝ち誇ったような顔になった。
まさか…
「かかったな、春花。」
やっぱり!
やられた…
「これ以上って、どれ以上だ?あぁ、コラ?言え。」
「やっぱり嘘だったんだ!ってか、キスまでする必要ないじゃん!一回分返してよ!!」
「嘘じゃねぇ、演技だ。え・ん・ぎ!キスの一回ぐらい気にすんな。しかも、ほっぺにで。」
「うっさい、変態!半径2メートル以内に近づくな!」
「小学生か、お前は。」
そう、あたしは夏柑にすっかり騙されたのだ。
考えていた通り、夏柑があたしを好きなわけはない。
動揺させて、隠し事を聞き出そうとしたのだ。
夏柑の嘘…
もとい、演技を見破れなかったなんて不覚。
悔しい!
「で、早く教えやがれ。何があったんだ?」
あー
夏柑のニヤニヤ顔が憎らしい。
夏柑の知りたがりにも困ったもんだ。
まあ、いいけどね。
どうせ夏柑に言おうと思ってたんだし。
こんなことなら、はやく喋ってしまえばよかった…
そんな後悔をしながら、あたしは四季とのことを話した。