こらしめ屋
「ほんと、ほんと!」
あたしは一生懸命に、この話が真実であることが海にちゃんと伝わるように願った。
願いを込めて、海の顔を覗き込むと…
「よかったぁ…」
そう言って安心する海を見て、あたしもホッと胸を撫で下ろす。
不安になったり安心したりする海を見て、かわいいなって思った。
これが恋するってことなのか…
「海!あたし応援するから!」
「ありがとう。春花も、夏柑さんと上手くいくといいね。」
「ありがと。お互い頑張ろうね!」
「うん。」
そんな会話を終えたのは、もう夕方過ぎだったので、あたし達は事務所を後にして、それぞれの家へと帰った。
事務所を出ると、商店街の建物が、ほとんど沈みかけた夕日の残り陽を微かに浴びてオレンジ色に染まり、一枚の絵画のような美しさだった。
その夕日に追われるように、笑いながら駆け足で家に帰っていく子ども達。
そんな商店街を見て、あたしの心はほっこりとした。
好きという気持ちを知ったあたしの心は、前よりも温かくあたしの中に収まっていた。