こらしめ屋
「色々とな。…俺、この街結構気に入ってたんだぜぇ。春花もいるしな。」
「またそんなこと言って!どうせ演技でしょ?」
「さぁな?」
そう言って、ニカッと笑った夏柑の顔は、色んな感情が混ざり合ったみたいにややこしい表情だった。
「そういや、俺に用があって来たんじゃねぇの?」
あっ…
すっかり忘れてた!
「そうだった!綾瀬家の件での、お礼言いに来たんだ。色々と協力してくれて、本当にありがとね。あっ、新聞読んだよ!一面にでっかく載ってた。やるじゃん。」
「あったりめぇだ。俺を誰だと思ってんだ?」
「天才探偵 夏柑様!」
「そう!その通り!わかってんじゃねぇか。」
「ま、半分お世辞だけどね。」
「なんだと、コラ!」
「アハハ♪冗談だって。夏柑のことは、まじで尊敬してる。何度も助けてもらったし。ほんと…今までありがとう!どこかで元気に暮らしなよ?」
「春花なんかに心配されなくても、大丈夫だっつの。」
「相変わらず失礼な奴。」
「うるせぇ。」
こんな馬鹿みたいなやりとりも、もうできなくなるんだ…