こらしめ屋
―…綾瀬家の件から二週間後。
「和樹が先に入ってよ。」
三人は、こらしめ屋の事務所の前に立っていた。
「ふざけんな!渉!行け。」
「嫌ですよ!心の準備が…」
「私もだよぉ~。春花、いなかったらどうしよう?もしや、本当にこらしめ屋解散?」
「縁起悪いこと言ってんじゃねーよ!」
「じゃあ、中に入って確かめて下さいよ。」
「そうだよ。言い出しっぺでしょ?先頭きりなよ。」
「うおっ!?押すな、海。ったく、しょうがねーな。」
海にぐいぐい押されて、和樹はようやく事務所のドアノブに手をかけた。
《カラン、カラン》
澄んだ鐘の音が、事務所内に響き渡る。
和樹は事務所の廊下をゆっくりと進み、たまり場でもある、来客用のソファーが置いてある部屋に向かった。