こらしめ屋
「いいんだよ」って、あたしが答える前に、和樹が答えた。
「いいんだよ。こんなアホな奴を『綾瀬』なんて、難しい名前で呼ばなくても!」
イラッとしたけど、とりあえず木本くんに念を押しといた。
「和樹の言うことはともかく、呼び捨てでいいんだよ。」
「わかりました!呼び捨てで呼ばせてもらいます!」
「うん。そうして。……名字で呼ばれるの、嫌いだしさ。」
「えっ?最後に何か言った?」
海がキョトンとしてきいてきた。
「ううん。なんでもないよ!」
「そう?ならいいんだけど…。」
危ない、危ない…
つい、余計なこと口に出しちゃった。
「木本を入れるなら、俺らも入れろよな!」
誰かが恐ろしいことを言いだした。
「そうだよ。私達も入れて?」
もう一人の誰かが追い打ちをかけるように繰り返した。
「えっ!?」