こらしめ屋
「宮武 拓也かぁ…。」
あたしはポツリと呟いた。
未だ逃亡中の殺人犯をこらしめるとなると、あたし一人の力じゃ到底無理だ。
仕方ない。
あいつに頼むか…
あたしはある人物に電話をかけた。
こいつには、なるべく頼りたくなかったのに…
《♪~♪~♪》
呼び出し音が数回鳴り、電話口から、
『…はい?』
と、気だるそうな声が聞こえた。
「春花だけど。」
『なに?なんか用?』
相変わらずの面倒くさそうな言い方にイラッとしたけど、『杉原さんの為だ』と自分に言い聞かせて我慢した。
「明日の夕方、そっち行っても大丈夫?依頼したいんだけど。」
『無理。』
「はっ?何で?」
『メンドくせぇから。』
ったく、この男は!
気分屋にも程がある!
「そんなん理由になんないし!とにかく明日、5時ぐらいに行くから!」
あたしはそれだけ言うと、電話を『ブチッ』と切った。
あいつと話してると疲れる。
ストレスだって溜まりまくる。
でも、あいつしかあてがないのだから仕方ない。