こらしめ屋


しばらくするとチャイムが鳴って、みんなが席に着いた。

担任が『ガラッ』とドアを開けて、朝の会が始まる。

礼をした後、みんなが待っていた言葉を、先生が口にした。



「え~、では、今日は転校生を紹介します。杉崎、入って来い。」



ドアに向かって先生が呼び掛けると、転校生が入ってきた。



「あっ!」



あたしは、思わず声をあげてしまった。

なんで、あの人がここにいるの!?




教室のドアから入ってきたのは、なんと!

…昨日ぶつかった人だった。



「どうした?綾瀬?知り合いか?」



先生があたしの声に驚いて聞いてきた。



「別に…、そういうわけじゃ…」



『ないです』と言おうとした瞬間、あの爽やかな声が遮った。



「そうですよ、先生。綾瀬さんと僕は知り合いなんです。」


「!!!??」



…あれっ?

あたしとあの男(ヒト)って知り合いだっけ?

曲がり角でぶつかっただけで、知り合いになるんだっけ!?


あたしの口はポカーン。

みんなも、ポカーン。

先生までポカーン。


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