こらしめ屋
一番早く自我を目覚めさせたのは先生だった。
「え~。あぁ、そうか。そうだったのか。え~、じゃあ杉崎、お前綾瀬の隣に座れ。知り合いならお前も色々と聞きやすいだろ。」
「はい。」
あの男…もとい、杉崎は丁度空いていたあたしの隣の席に座った。
あたしはまだ、状況が理解できず、ポカーンとしている。
「よろしく、綾瀬さん。」
爽やかな笑顔で、杉崎があいさつをする。
いつもなら『綾瀬って呼ぶな!!』って言う所だけど、この時ばかりは突然な事で頭が回らず、
「よ、よろしく…。」
と、返すだけしかできなかった。
休み時間になると、海が直ぐに話し掛けてきた。
「ねぇねぇ、春花!杉崎君とどういう関係なの?どこで知り合ったの?」
「いや、知り合いっていうか、何ていうか……。う~ん……、ぶつかった相手?」
「へっ?なにそれ?」
海がキョトンとした顔で聞いてきた。
「この前、ぼーっと歩いてたら、ぶつかったんだ。」
「それだけ?」
「うん。それだけ。だから、別に知り合いって程でもないし。」
ほんと、全くの他人だ。