こらしめ屋
「そうなんだ。春花が、ぼーっとするなんて珍しいね?」
「そうかな?」
あたしって、海から見たらどんな風に見えてるんだろ?
今更だけど、そう思った。
「そうだよ。どうしたの?何かあったの?」
「う~ん?特には無いんだけど、ちょっと考え事してたんだ。」
「考え事?」
「あっ!別に気にしなくていいよ。ほんと、たいしたことじゃないし!」
あたしは慌てて制した。
「そう?悩み事だったら、いつでも相談のるよ?」
「ありがと。」
海は本当にいい子だ。
時々、嘘つきのあたしとは釣り合わないって思う。
もし、あたしが今まで言った嘘が全部バレら、この関係はどうなるのかな?って、不安になる。
だから、心の中で何度も謝っている。
ごめんね、海…。
海とそんな会話をした休み時間の次の授業中、杉崎くんが話し掛けてきた。
「綾瀬さん。悪いんだけど、教科書みせてくれないかな?」
「えっ?あぁ、そっか!はい、見える?」
あたしは机と机の間に、教科書を持っていた。