こらしめ屋
ちょっと見にくいかな?
なんて考えていると、案の定、
「机くっつけてもいい?」
と、杉崎くんが言った。
やっぱり見にくかったか。
「いいよ。」
そして、机をくっつけて教科書を真ん中に置いた。
これで見えるだろう。
「ありがとう、綾瀬さん。」
ここであたしは、さっき言い忘れたお決まりの言葉を言った。
「あのさ、綾瀬って呼ばないで欲しいんだけど…。春花で、いいし。」
すると、杉崎くんは、さっきまでの優しい表情とは打って変わり、嘲笑うかのようなニヤリとした表情になり、こう呟いた。
「そんなに綾瀬財閥が嫌いかい?」
「えっ…?」
胸に何かが刺さったみたいに、チクリと痛んだ。
それと同時に、あたしは凍りついてしまった。
血の気が引いて、顔が青くなるのが自分でもわかった。
やばい…
やばい。
やばい!
何か言い返さなきゃ…