こらしめ屋
「な、なんのこと?あ、綾瀬財閥が…、どうしたの?」
ダメだ。
声が震える。
一方の杉崎くんは、落ち着き払って、からかうように言った。
「綾瀬財閥がそんなに嫌いかい?って言ったんだよ。」
「…!?な、なんで綾瀬財閥がで、で、出てくるの?」
「そりゃぁ、もちろん。春花が、綾瀬財閥の会長である、綾瀬 聡の娘だからに決まってるよ。」
杉崎くんはニッコリと笑ってみせた。
その悪魔のような微笑みに、あたしは身動きがとれない。
うそ…
なんで知ってんの…?
ありえないって…
「みょ、名字が、ぐ、偶然 一緒なだけだよ!」
やっと言い返した言葉も、やっぱり震えていた。
これじゃ、認めてるのと同じじゃん!
「ごまかしても無駄だよ。僕は、全部知ってるんだから。」
杉崎くんは、それだけ言うと、前を向き、さっきと同じように、再び授業に取り組みだした。