こらしめ屋


7年前、あいつらはあたしを置いて行った。



あの日のことは、今でもはっきりと覚えている。


朝 起きると、いつもと違う雰囲気。

静かな空間。



『お母さん?』



と呼んでも、



『お父さん!?』



と叫んでも、返事は返って来なかった。



どんなんに…

どんなんに…

どんなんに、寂しかったか…!



どれだけ…

どれだけ…

本当に、どれだけ怖かったか…!



不安で、不安で、泣き出しても、頭を撫でてくれる優しい手はなくて…



特別仲が良い家族ってわけでもなかった。

だけど、小さかったあたしにとって、両親の存在はすごく大きなものだった。



なのに、7年前のその日。

両親は、何の前触れもなく、フッと姿を消してしまったのだ。


あたしを、たった一人残して…






それから色々あって、今みたいにマスターと暮らすことになったんだ。



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