こらしめ屋
「わたし海!よろしくね♪」
転校初日に笑顔で声を掛けてくれたのが海だった。
(両親のお陰で通えていた名門私立の小学校は、通えなくなったから。)
「……よろしく。」
あたしは無表情でそれだけ言った。
転校初日は物珍しさもあって、いろんな子たちに話し掛けられたけど、何を言っても無表情で関心のないあたしに、次の日からは声を掛けることはなくなった。
それでいい。
これであたしは、もう傷つかずにすむ。
でも、海だけは違った。
こんなに無表情で嫌な奴を演じているあたしにも、ほかの子たちと分け隔てなく、毎日笑顔で話し掛けてくれた。
「おはよう♪」
だとか、
「また明日ね♪」
だとか…
そんな小さなことでも、あたしは心の隅で嬉しく思っていた。
海の笑顔と優しさが、あたしの心に光を射してくれた。