音を聴け!
桜のとある日常。
〜優SIDE〜
「じゃあ、ワークは明後日までに出すように!」よく通る先生の声。
「えぇ!!無理っすよ、ページ数ありすぎー。」必ず先生につっかかる同級生。
「たった4、5ページがんばれよ〜」
騒がしい教室。あと少しで授業が終わる、そうすれば晴れて俺は家路につけるわけだ。
窓から穏やかな日差しが入ってくる。その暖かさに寝たい衝動にかられた。

ダメだ…あと少し……。

キーンコーンカーンコーン
「はい、抗議終了!日直挨拶して」
「きりーつ。」生徒がダラダラと席をたつ。なんとか俺は机に突っ伏することは免れた。
『ありがとーございました』
皆の元気のない声ときたら、絶対俺と同じく半ば寝てたに違いない。

そんな時に話しかけてきたのは

「…ねぇ、石澤。数学のノート、クラスの男子分集めておいてね。」
「は、なんで??」
「ノート見て先生が評定つけるって。私は女子分集めたから、お願いね。」
それだけ言って高木華乃は教室をでていった。
「んだよ…。」
多分、高木は寝てないな。なんせ真面目だ。見た目も性格も。メガネに長めのスカート、必要最低限のことしか話さない。いろんな相乗効果でクラスの男子は高木を敬遠ぎみだ。

もちろん、俺もその1人。

…まぁ、そんなことはどうでも良い訳でさ。
「さっさと帰ろ。」鞄をとって教室の外にでる。けれど、帰りたいという思いとは裏腹に、教室からでると人だかりが出来ていた…。そしてまぁ、人だかりはよく喋る。

「優〜!カラオケ行こぉ!!」
「ちょ、違うから。優はうちらのグループと行くの!」
「今日の優もかっこいいわぁ///」
「それよりもさぁ…。」
四方八方から聞こえる声。返事にもすっかり困ってしまう。

この石澤優。高校2年生、モテ期到来か?毎日、遊びに誘われ、屋上に誘われ、ある時は親のいない家に誘われ…。前もそれなりにモテてたけど、今年になってまたひどくなった気がする。

でも流石に今日は無理!
「ごめん!!今日、用事あるから無理だわ〜。」お願いだ…!これで帰らせて!!
『えぇええ!!!!!』皆が最悪と言わんばかりの声を上げる。
こっちが、えぇええ!!!!!だよ。この状況に涙に似たようなものが込み上げてくる。

それから5分後
「やべぇ、疲れたー!!」
あれからみっちり説得し倒し、体力、精神ともにグダグダだった。あの皆の放課後のテンションには恐怖すら覚える。


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