君の近くで…
辺りは薄暗くなり
私は何故か車に男の子を乗せて、宛もなく走っていた

「…OLさんなんですか?」

男の子は外を見たまま話しかけてくる


「そうだよ。仕事の帰り。君は学校の帰り?」

「はい。」


今の高校生ってもっとウルサイっていうか、テンションが高いのかと思ってた


でも
この男の子は落ち着いてる…?


外見は他の高校生と一緒

髪を立てて
カッコよく制服を着崩して
顔は大人びてるけど
まだ、ちょっと幼さも残る

「ねぇ、君の名前は?」

チラッと男の子を見る

男の子は私を見つめ返して言った

「優希(ゆうき)。鈴村優希。…お姉さんは?」


胸が波打った

顔に熱がこもるのがわかって、私は前を見つめた


「南(みなみ)。佐伯南。」


「へぇ…南さんって言うんだ。かわいい名前だね。」

そう言って初めて見せた優希の笑顔に…

私の心が高鳴った
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