「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
一人寂しく晩酌でもと、キッチンへ向かう。

冷蔵庫を開けたらそこに、覚えのない立方体を見付けた。可愛らしいリボンが飾られている。


大人の男(特に俺)には不似合なそれは、さっきまでここに居た彼女が置いてった物に違いない。



「なんだ、チョコあるじゃん」

一人で舞い上がるのも癪なんで、あくまで冷静に呟いてみた。



取り敢えず、ビールではなくその箱を手に取り、リビング兼寝室へ戻った。



ローテーブルの上にそれを置き、と同時にその傍らに腰を落として足を組む。



箱の中に入っていたのは、想像した通りの物と、無数のハートがうるさいぐらいにプリントされたメッセージカード、そして――



――――今日、杏奈がしていた腕時計の男物。



メッセージカードには、

『浩平、大好き!』

と書かれていた。


ほんの少し丸みを帯びた、でも整った美しい文字だ。


アイツ、字は奇麗じゃん。


意外過ぎて、目の奥が熱くなった。






てかさ、


俺にも『大好き』って言わせろよっ!




[2月14日は何の日だっけ?]Fin.




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