「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
薄く目を開いた杏奈が、ひゃっ、と。悲鳴に近い声を短く漏らして、身体を大きく跳ねさせた。


そのまま無我夢中で俺の腕の中から逃げ出す。そしてベッドから転げ落ちた。



愛しい女性の全裸。しかも絵画のように美しい。いつもの俺だったら見てるだけで逝ける、間違いない。


……はずなのに。

まるで獣に睨まれた小動物のように怯えていて、何だか滑稽だ。


何コレ?



「杏奈? 寝ぼけてんのか?」

身を起こしてベッドの上から声を掛ければ、

「こう……へい?」

杏奈は恐る恐る尋ねる。



「俺じゃなきゃ、誰なんだよ?」

ムッとして返せば突然、ブッと吹き出して、杏奈はクツクツ肩を揺らして笑い出した。


何なの?



「浩平、やだっ、プッ、ククク……」


「何が『やだ』だよ? なんなん、お前?」


「顔っ、顔が……」


「顔が何?」


「鏡見て来て。やっ、ちょっ、やばっ、ウケる」


「はぁ?」


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