「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
訳がわからず、けど杏奈に言われるまま洗面所へ向かった。



杏奈の笑い声がいつまでも聞こえる。当分、止む気配はない。




鏡の中の俺(?)を見て愕然とした。


俺が寝てる間に、あのお子ちゃま頭脳はとんでもない悪戯を思い付いたらしい。

そして実行した。



「『やだ』じゃねぇわっ! これお前がやったんだろ?」

捲し立てながら寝室へと戻れば、俺の激怒なんかどこ吹く風、全裸で腹を抱えて笑い転げる杏奈が居た。



呆れて怒る気力も消失してしまった俺は、

「杏奈さん、一体何をしてくれちゃったんですか?」

力なく抗議した。



「何って……パンダメイク? ふっ、ふふふっ……」

シレっと答えて、また大笑い。



俺の顔が黒のマジックで落書きされていた。


目の周りが楕円に塗りつぶされ、鼻の上にも三角形に近い歪な楕円。



「はぁ? パンダメイク? つーかこれ、パンダそのものなんすけど……」


途端、杏奈の笑い声が弾けた。息をするのもしんどそうなぐらいに笑っている。



そんな杏奈を、ただ呆然として眺めていた。


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