「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「あっ……」

杏奈が何かを思いついたように声を漏らした。


「何?」

と問えば、ベッドを降り立ち、全裸のままトコトコ移動する。


「これ使えないかなぁ」

などと独り言のように呟きながら、自分の鞄の傍らにしゃがみ込んで、その中をゴソゴソ探る。



「有った!」

嬉しそうに声を弾ませ、そうして中から取り出したのは……。



アートバルーン?


くるくる捻って犬とか花とか(?)を作る、細長い風船。

まだ膨らませてない『未使用』のそれ。そのスマートさ、鉛筆並み。



「クララが――

窒息してしまう……」


「バカ言っちゃいけないよ」

杏奈はアートバルーンの先っぽを持って仁王立ち。垂れ下がったクソ長いそれを、俺の目の前でプラプラと揺らした。


「誰だよ、お前?」

そんな俺のツッコミはもちろんスルーで、

「膨らましたらコレ、浩平のクララよりデカいんだからねっ!」

何故だか勝ち誇った顔で、ふふんとほくそ笑んだ。


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