「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
とは言え、俺はこいつを恨んでも憎んでもいない。

何故なら、俺は今、最高に幸せだから。まぁこいつのお陰で、この麗しい今があるって言えなくもないからな。



仕方ねぇ、相手してやるか。



「お前こそ、彼女いんのかよ?」

避妊具に用があるってことは、当然そういうことだろうと思うが、こいつの場合、世間一般の『当然』は適用されない。



案の定、

「いねぇよ? セフレ孕ませたら、大惨事でしょ?」

平然として不実なことをのたまい、城之内は屈託なく笑った。



「だな」

大惨事には違いないので、取りあえずは同意。



「お前って、何だかんだモテんだよな、昔っから」


「いえいえ、城之内さんほどではないっすよ」


「何でかなぁ? 納得いかねぇ。絶倫だから?」


「お前の納得とかどうでもいいし。てかお前は……」


言いながら城之内の股間に視線を落とし、その中のモノについて、高校時代の修学旅行の記憶を辿る。



「ドンマイ、城之内」

ポン、とその右肩に軽く触れて、慰めにもならない言葉を吐いた。


「てめ、ほっとけよ」

城之内は、期待通りの反応。ムッとして俺の手を払いのけた。


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