「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「アイツ、俺の知り合い。大丈夫だから出て来いよ。紹介するわ」


「えー。ただの知り合いでしょ? だったら紹介とかいいよ。早く水族館行こ?」


杏奈さん。あなたは声を潜めてるつもりっぽいけど、恐らく相手方に筒抜けですよ。



「どうもー、いつもうちのコーヘーちゃんがお世話になってまーす。俺、城之内雪成って言います。米山くんとは高校ん時の同級生で、まぁ親友……的な?」

妙なハイテンションで、横から口を挟んできた城之内。


打たれ強いのは、勘違い男に共通する特徴の一つ。

てか俺ら、親友でも友達でもねぇし。


しいて言うなら、穴兄弟……って、思い出したくもない過去を自ら思い起こす、やっぱり自虐的な俺。



露骨に嫌な顔をしつつも、杏奈は渋々車から降りてきた。


「どうも。いつも浩平のお世話をしてます、薬師丸です」

面倒くさそうに、不機嫌顔でテキトーな挨拶を口にする杏奈も見惚れるほどに麗しく。


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