「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「いやー、モデル並みに美しいね。何やってる人? もしかして、ホントにモデルだったり? どこで米山と出会ったの? てか、米山のどこがいいの?」


「いえ、米山くんと同じ介護士です。米山くんとは職場が一緒です。米山くんの全部が好きです」

淡々と、酷く事務的ではあるが、投げられた全ての問いに律儀に答えた杏奈。


益々面白くなさげに、チッと舌を鳴らす城之内を俺は見逃さなかった。

ざまぁ。



「介護士って、そんなに魅力的な仕事なん? こんな美人が勤めてんなら、俺もそこに入社しよっかなー?」


「お前には無理だ。入社じゃなく入所なら、ギリいけるかもな」


「浩平、言い過ぎだよ」

ピタッと俺の身体に自分のそれを密着させて見上げてくる杏奈は、いつもの小悪魔的な可愛いさ全開。


『言い過ぎ』とか言いながら、堪えきれなくなって、笑い声を小さく漏らす。



「仕事、楽しい?」

どうやら、本気で転職を考え始めた?


城之内、お前の数少ない長所を生かせる場所は、今現在の職場以外にないと俺は思うね。


『女を悦ばせるのが俺の生き甲斐』

だっけ?


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