「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
だけど杏奈の気持ちがイマイチ良くわからない。


杏奈は28歳、結婚を意識してもおかしくないはずなんだけど、杏奈の口からは結婚の『け』の字も一切出て来ない。



杏奈はどう思ってんだろう。


まだ結婚はしたくない……とか?

それとも俺、『結婚相手としてはちょっと……』とか思われてんだろうか……。だって俺、三つも年下だし。



一人でグダグダ考えてたって、延々一方通行だ。

仕方ねぇ、俺の方からモーション掛けるか。


名付けて、『プロポーズ大作戦』。

何の捻りもない残念なミッション名だが、俺の率直な願望を目一杯詰め込んだってことでよしとしよう。


そう言えばかつて、こんな題名の人気ドラマが有ったような、無かったような……。俺は観てないから記憶は曖昧。






事終えた後、俺の腕の中で未だ余韻にひたっている杏奈。


肩に触れるぐらいのストレートの髪を自由な方の右手で弄りながら、杏奈への愛しさを噛み締める。

そのサラサラした感触は心地よくて、これまた至福の時ではあるが、眠い。


だがしかし、『セックス後の即寝』は絶対に犯してはならない禁忌だ。



「高校ん時のツレがさ、来月結婚すんだと。めでたいから喜ぶべきなんだろうけど、出費がイタいよな。最近立て続けでさ……俺のお財布、大ピンチだわ」


それとなく結婚を匂わせたことを呟いてみた。


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