「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
気になる杏奈の反応はというと……。


俺を上目使いで見上げ、

「今日の浩平、よくしゃべる」

言って、薄っすら笑みを浮かべた。


でもその笑顔が、困っているように見えて、早くも俺、挫けそうになる。



慌てて話題を逸らす。


「お前ってほんっとスタイルいいよな、何かやってんの?」


杏奈の裸体は見てるだけで逝けそう。これ、本心。



「どうしたの? 今日の浩平、なんか変だよ?」

とかなんとか言いながらも、杏奈は嬉しそうに目を細めた。


「変か? いつもと変わんねぇと思うけど」


「うん、変。浩平が私のこと褒めるなんて珍しい」


そう言われてハッとする。

確かに俺、『愛してる』ってことはウザいぐらいに伝えまくってるけど、杏奈自身を褒めることって滅多に――いや、一度も無かったかも。



「ああ、ごめん。そういや無いな。杏奈のこと、気持ち的にはいつも絶賛してんだけどな」


「やっぱ今日の浩平、なんか変」


そんなんだと不安になる、と。うっかり聞き逃しそうなほど小さな声で続けた杏奈。



不穏な空気が流れる。

ヤバいぞ、これ。どうしてこんなことになんの? 俺はただ、杏奈にも結婚を意識して欲しいだけなのに。


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