「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「何か言いたいことがあるんでしょ? はっきり言えば?」

言って杏奈は、また辛そうに苦笑する。



この状況で言えるかよ。

『俺と結婚してください』なんて、口が裂けても言えない。



「じゃあ、私が言うね?」

意を決したように、杏奈が再び口を開く。


ああ……死刑宣告されてしまう。

逃げたい。今すぐここからランナウェイしたい。



「私、浩平と別れるぐらいなら、結婚なんかしたくない。子どもなんて要らない。欲しいけど、要らないの。子どもなんか、生理きてる間は産めるんだから、まだまだ時間はたっぷりあるし」


「は? ごめん、ちょっと意味わかんねぇわ。何の話?」


「え?」


互いに見詰め合って、凍りついたように固まった。



「どういうこと? 『俺と別れる』って……」


「え? 違うの?」


「『違うの?』って何が?」



頭ん中が混乱して、訳が分からなくなった。

何がどうして、どうなっているのか……。



「ごめん、杏奈。解るように説明してくれる? ちゃんと聞くから」


これはもう、俺一人で考えてたって埒が明かない。縋る思いで杏奈を見詰めて懇願した。


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