「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
杏奈は戸惑いながらも、ポツリ、ポツリ、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「だから……浩平は、私が結婚を望んでるなら、さっさと別れて、そういう相手を探せって言いたいんでしょ?」
「えっ? 何でそうなったの?」
「だって浩平、結婚の話とか、子どもの話とか……わざとらしいぐらいに、そういうことばっか言うから」
「なんで彼氏が結婚を匂わすこと言って、それが別れ話に繋がるんだよ? 違うだろ? フツー逆だろ?」
そして――
俺の『プロポーズ大作戦』は、わざとらしかったんですね、すみません。
まだ俺の真意に気付いてないっぽい杏奈。濡れた瞳で不思議そうに俺を眺めている。
居ても立っても居られず、ベンチから腰を上げて杏奈の目の前に回り込んだ。そうして、両膝を地に落として、杏奈の両手をそっと拾い上げた。
「杏奈は……まだ結婚したくない?」
尋ねれば、驚いたように目を見張る杏奈。でもそんなの構わず続けた。
「俺はしたい。今すぐにでも」
「え? 浩平、それって……」
「けど俺の花嫁は、世界中の男が羨むような美人じゃなきゃ駄目だ」
杏奈はまだ気付かない。ぼんやりした眼差しは、俺に向けられてはいるが、俺を見ていない。
それがもどかしくて、杏奈の手を握った自分のそれに、自然と力が籠る。
「だから……浩平は、私が結婚を望んでるなら、さっさと別れて、そういう相手を探せって言いたいんでしょ?」
「えっ? 何でそうなったの?」
「だって浩平、結婚の話とか、子どもの話とか……わざとらしいぐらいに、そういうことばっか言うから」
「なんで彼氏が結婚を匂わすこと言って、それが別れ話に繋がるんだよ? 違うだろ? フツー逆だろ?」
そして――
俺の『プロポーズ大作戦』は、わざとらしかったんですね、すみません。
まだ俺の真意に気付いてないっぽい杏奈。濡れた瞳で不思議そうに俺を眺めている。
居ても立っても居られず、ベンチから腰を上げて杏奈の目の前に回り込んだ。そうして、両膝を地に落として、杏奈の両手をそっと拾い上げた。
「杏奈は……まだ結婚したくない?」
尋ねれば、驚いたように目を見張る杏奈。でもそんなの構わず続けた。
「俺はしたい。今すぐにでも」
「え? 浩平、それって……」
「けど俺の花嫁は、世界中の男が羨むような美人じゃなきゃ駄目だ」
杏奈はまだ気付かない。ぼんやりした眼差しは、俺に向けられてはいるが、俺を見ていない。
それがもどかしくて、杏奈の手を握った自分のそれに、自然と力が籠る。