「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
だからって、そんな爺さんを私に押し付けるか? 浩平のヤロー……。

確かに私は若くないし、触られた時のリアクションも薄い――というか皆無だから、月野さんにとってはつまらないらしく、被害に遭うことはほとんどない。


浩平の判断は至って正当だけども。

それでも今日は、無性に腹が立った。


そして、よりによって本日、月野さんの元気バロメーターはマックスだった。

車椅子から便座に移乗しようと抱き上げた時、背後に回された月野さんの両手が、私のお尻をむぎゅうと掴んだ。

私がそんなのに動じないのは、いつものこと。

だけど、今日は虫の居所が悪かった。私は私で、不機嫌バロメーターの数値がマックスだった。


便座に腰を落ち着け、ニヘヘと薄ら笑いを浮かべる月野さんに、

「そんなに触りたいなら……」

身を翻して自分のお尻を突き出した。


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