「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「歌、苦手なんですね」
「いや、寧ろ得意な方」
やけに涼しい顔して答えるから、余計に意味がわからない。
「じゃあどうして?」
「他人(ひと)が自分に酔って歌ってるのを見るのが苦手っていうか……こっちが恥ずかしくなる」
思わず唖然。何なんだこの人は……。
「開いてるよ、口」
すかさず指摘されて、咄嗟に右手で口を覆った。それを見た宇留野さんは、ふっ、と声にならない笑いを漏らす。
「バカにしてますか?」
「してません」
「でも今、笑いましたよね?」
「笑いましたけど、バカにはしてません」
「こんな時だけ敬語とか、余計にバカにされてる気がする」
「はぁ? そんなの言い掛かり」
そう言いながらも、宇留野さんは視線を逸らして俯いた。その肩が微かに震えているのを私は見逃さなかった。更に一つ二つ文句を言ってやろうかと思ったけど、丁度そこで台湾ラーメンが運ばれてきた。
「まあ食べてみろって。激ウマだから」
明らかに話を逸らす目的で発せられた言葉。けれども目の前に置かれたそれは、匂いだけで既に悩殺ものだった。
「いや、寧ろ得意な方」
やけに涼しい顔して答えるから、余計に意味がわからない。
「じゃあどうして?」
「他人(ひと)が自分に酔って歌ってるのを見るのが苦手っていうか……こっちが恥ずかしくなる」
思わず唖然。何なんだこの人は……。
「開いてるよ、口」
すかさず指摘されて、咄嗟に右手で口を覆った。それを見た宇留野さんは、ふっ、と声にならない笑いを漏らす。
「バカにしてますか?」
「してません」
「でも今、笑いましたよね?」
「笑いましたけど、バカにはしてません」
「こんな時だけ敬語とか、余計にバカにされてる気がする」
「はぁ? そんなの言い掛かり」
そう言いながらも、宇留野さんは視線を逸らして俯いた。その肩が微かに震えているのを私は見逃さなかった。更に一つ二つ文句を言ってやろうかと思ったけど、丁度そこで台湾ラーメンが運ばれてきた。
「まあ食べてみろって。激ウマだから」
明らかに話を逸らす目的で発せられた言葉。けれども目の前に置かれたそれは、匂いだけで既に悩殺ものだった。