「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「彼女いないって言ったら、色々とめんどくさいだろ?」

「はっ? それはどういう……」

「ラーメン、のびるよ?」

「話逸らさないでください」

「別に逸らしてなんか……米山さん、意外とぐいぐい来るね?」

誤魔化すように笑って宇留野さんは言うが、

「そんな嘘、すぐにバレますよ」

更に畳み掛ける。

「嘘なんて、吐き通せば嘘じゃなくなる」

「何ですか、その持論。全くもって意味がわかりません」

「わかって貰おうなんて思ってない。だし、誰にも迷惑かけてない」

「迷惑かかってますって! 宇留野さんのこと『いいな』って思ってる子が、その嘘のせいで諦めるしかなくなるんですよ?」

そこまで言って、ハッと気づく。そうか、嘘の目的はそれか。


「わかってくれた?」

宇留野さんは勝ち誇ったように微笑む。

「『わかって貰おうなんて思ってない』んでしょ? わかりません」

何だか悔しくて、躍起になって言い返した。


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