「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの？」

「俺、恋愛に向いてないんだよね」

一瞬、冗談かと思ったけど、その顔はどうやら真剣。いや、いつもの無表情かも。よくわからない。

「どうしてそう思うんですか？」

「めんどくさいから」

「ただの我儘じゃないですか」

「めんどくさいから彼女とか作りたくない。要らない」

「そんなの……夢中になれる女性が現れたら変わりますよ。要は、面倒くさいことをも厭わないほど誰かを好きになったことがない、それだけじゃないですか。大した問題じゃないですよ」

「なるほどね……」

にさっ、と意味ありげに微笑む宇留野さん。

「またバカにしてます？　人が真面目に答えてんのに」

「してないって。そういう被害妄想的なのも、めんどくさい」

「女はめんどくさいから彼女は要らない、そういうことですね」

「正解。あと酷い我儘ね」

「そうですね。おっしゃる通りだと思います」

可哀想に、と続けて麺をすすり思いっきり頬張った。さっさと食べてここを出ようと思った。このままだと宇留野さんのこと、ちょっと嫌いになりそう。