「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「ところで米山さん、一人? 旦那さんは?」

話しかけないで欲しいのに、宇留野さんはまた口を開く。さっさと食えよって思ったけど、宇留野さんの丼の中は着実に減っているから不思議。

「家で寝てます」

即答すれば、えっ? と驚いた顔をする。

「当たり前でしょ? 今、何時だと思ってんですか」

「まぁ……そうだね」

少しの間の沈黙。けれどすぐにまた宇留野さんが、

「喧嘩でもした?」

と、薄っすら笑みを浮かべて訊く。まるで面白がっているみたい。

「答えたくない」

「したんだ」

宇留野さんは確信したように言う。

「してないですよ。私たち、すっごく仲良しですから」

「じゃあどうして一人で来てんの?」

「だから寝てるって言ってるじゃないですか」

「寝てるから、怒って出て来たんだ」

「そんなんじゃ……」

意地でも否定しようとしたけど、

「はい、そんな感じです」

もう何だか面倒くさいから認めた。宇留野さんこそ、とてつもなく面倒くさいじゃない。


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