「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「そこまでドン引きしなくても……」

宇留野さんにしては珍しく、自信なさ気な小声だった。目線をほんの少し上げてチラ見すれば、困ったように苦笑している。

自覚していながらも、自分ではどうにもならない欠点って確かにある。よくよく考えてみれば私もそう。浩平の寛大さに甘えっ放しだ。

宇留野さんは私に似てる。いつか、浩平みたいに果てしなく心が広いパートナーに出会えますように、と切に願う。


と、鞄の中のスマホが着信を告げた。取り出して画面を確認すると『浩平』の文字。

「もしもし」

『杏奈? 今どこ?』

その声に、心なしか浩平の焦りを感じた。

「あすなろ」

『ラーメン屋? なんでまた……』

「ラーメンが食べたくなったから」

『すぐ行く』

「来なくていいって。これ食べたら帰るから」

『そういう訳にはいかねぇだろ』

一方的に言って、浩平は通話を終了させた。徒歩5分もかからない場所なのに、心配性なんだから。

浩平、目を覚ましたんだ。あのまま朝まで入眠コースだと思っていた。


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