「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「私、宇留野さんのことが好き過ぎて、おかしくなっちゃってたのかもしれません。やっと目が覚めました。本当にごめんなさい」

「ほんとにもう、気にしないでください。誤解が解けたなら、それで十分です」

「それだけじゃなくて……あの、米山さんの旦那さんのこと……失礼なこと言って……私、恥ずかしいです」

言って、早川さんは俯いた。


ああ……。

『素敵ですか? はっきり言って、あんまりカッコ良くないですよね? だから、カッコイイ宇留野さんに、ちょっと惹かれちゃってるんじゃないですか?』

――っていう、アレですか。


「いいのいいの、本当にカッコ良くないんだから。むしろ、不細工な方だと思うし」

ごめん、康平、と思いながら、冗談ぽく返して笑ってみた。


「宇留野さんにも言われました。男のカッコ良さは、顔じゃないって」

「じゃあ何なのよ、ねぇ? 第一印象って、すごく大事だと思うんだけど……」

私の言葉に、早川さんは小さく声を漏らして笑いながら、再び顔を上げた。


「『滲み出る優しさと包容力、そして大人の余裕』らしいです」

「ふうん……」

としか言いようがない。女子にそんな説教たれてる暇があったら、まともな恋愛の一つでもしてみろと、逆にこっちが説教してやりたい。


「米山さんの旦那さんは、その全てを兼ね備えている、的なことも言ってました」

「はあ……」

生返事しか出てこない。この上なく嬉しい褒め言葉だけども、アヤツの口から出たものってのが、どうも引っ掛かる。


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