「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
私が何も言い返さずにいると、竹之内さんは気持ち良さそうに続けた。
「だから私、奥さんより愛人の座に魅力を感じちゃうんですよねぇ」
「二番目がいいってことですか?」
ちょっと意地悪な質問をしてみるが、竹之内さんは、えー? っと大袈裟に驚いて見せ、
「どうして愛人が二番目なんですか? 奥さんが家で家事とかやらされてる間に、愛人は美味しいもの食べに連れてってもらったり、ちゃんとデートしてもらえるんですよ? 愛人のほうが断然優位だと思いますけど」
何故だか自信満々に言い切った。
「斬新な恋愛観ですね」
共感できないどころか寧ろ呆れてしまって、ついつい嫌みったらしく返す。
「どこが斬新なんですか? 少し考えれば解ることだと思いますけど」
「ごめんなさい、私にはちょっと……。でも考え方は人それぞれなんで、あなたの考えを別に否定するつもりはないですよ」
百歩も千歩も譲ったつもり。だけども彼女は納得いかないとでも言いたげな不満顔で、
「薬師丸さんなら私の考えに賛同してくれると思ったのにな」
とほんの少し唇を尖らせた。
どうしてそんな風に思っちゃったのか、全くもって謎だったけど、これ以上くだらない議論を続ける気にもなれず、苦笑いで誤魔化した。
その後、気まずい沈黙が続いたけど、すぐに梅森さん、続いて浩平が戻って来て、どうぞこうぞしているうちに私たちの名前が呼ばれ店内に案内されたので、竹之内さんたちとはそれっきりになった。
浩平と本格タイ料理を満喫して大満足な私だったけど、ただ一つ、気に入らないことが有る。
『米山さんって本当に素敵ですよね』
『だから私、奥さんより愛人の座に魅力を感じちゃうんですよねぇ』
竹之内さんのあの言葉は私への宣戦布告だ。間違いない。近いうちにきっと、何か仕掛けてくるはず。厳戒態勢を強化しなければ。
「だから私、奥さんより愛人の座に魅力を感じちゃうんですよねぇ」
「二番目がいいってことですか?」
ちょっと意地悪な質問をしてみるが、竹之内さんは、えー? っと大袈裟に驚いて見せ、
「どうして愛人が二番目なんですか? 奥さんが家で家事とかやらされてる間に、愛人は美味しいもの食べに連れてってもらったり、ちゃんとデートしてもらえるんですよ? 愛人のほうが断然優位だと思いますけど」
何故だか自信満々に言い切った。
「斬新な恋愛観ですね」
共感できないどころか寧ろ呆れてしまって、ついつい嫌みったらしく返す。
「どこが斬新なんですか? 少し考えれば解ることだと思いますけど」
「ごめんなさい、私にはちょっと……。でも考え方は人それぞれなんで、あなたの考えを別に否定するつもりはないですよ」
百歩も千歩も譲ったつもり。だけども彼女は納得いかないとでも言いたげな不満顔で、
「薬師丸さんなら私の考えに賛同してくれると思ったのにな」
とほんの少し唇を尖らせた。
どうしてそんな風に思っちゃったのか、全くもって謎だったけど、これ以上くだらない議論を続ける気にもなれず、苦笑いで誤魔化した。
その後、気まずい沈黙が続いたけど、すぐに梅森さん、続いて浩平が戻って来て、どうぞこうぞしているうちに私たちの名前が呼ばれ店内に案内されたので、竹之内さんたちとはそれっきりになった。
浩平と本格タイ料理を満喫して大満足な私だったけど、ただ一つ、気に入らないことが有る。
『米山さんって本当に素敵ですよね』
『だから私、奥さんより愛人の座に魅力を感じちゃうんですよねぇ』
竹之内さんのあの言葉は私への宣戦布告だ。間違いない。近いうちにきっと、何か仕掛けてくるはず。厳戒態勢を強化しなければ。