「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「アイツ、なんもわかってねぇな。お前みたいな女に限って、寂しがり屋のかまってちゃんなのにな」


「はっ? 米山こそ、私の何がわかるっての?」


「違うか?」

そう聞き返して来た米山は、全てお見通しだとでも言わんばかりの自信満々なドヤ顔だ。なんだか無性に腹が立つ。



「違わないかもね。もうどうでもいいよ、終わったことだし」

面倒くさくなったし、本当にどうでも良かったしで、適当に肯定し、米山とすれ違ってリネン庫を出ようとした。


けれど、米山がすっと左腕を上げて棚に手をつき、行く手を阻む。さっきより更に距離が近いように感じるのは気のせいだろうか。



「慰めてやろうか?」

艶やかな低い声が私の鼓膜を静かに震わせた。


驚いて見上げれば、至極真面目くさった顔の米山が、ほんの少し目を細めて私を見詰めていた。冷ややかな眼差しは、自分に酔っているようにも見える。


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