「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
自宅の前まで来て、
「ここだから」
と、立ち止まって伝えれば、米山は「へぇー」と、珍しいものでも見付けたみたいに、まじまじと眺めた。
「ありがとね」
お礼を言ってから身を翻し、米山に背を向け門に手を掛ける。
ふと、何気なく振り返れば、米山はその場に立ったままじっと私を見詰めていて。視線がバチッと合わさると、「何?」と言って、不思議そうにほんの少しだけ首を傾げた。
「行かないの?」
気になって尋ねれば、「行くよ?」と何故だか疑問形で答える。
「じゃ、行けば?」
「お前こそ、入れば? 寒いだろ?」
「入るよ」
「じゃ、入れよ」
「だって……」
米山の背中を見送りたいじゃん。
そのままじいっと見詰めていたら、米山はフッと足元に視線を落とす。