「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
ほんの少しの間、何か考えているみたいだった。けれどすぐ、再び視線を上げて私を見た。


「じゃあ……同時に行く?」

大して名案でもないのに、米山はそう言って、満足げに微笑んで見せた。



「うん、わかった。そうしよ」

仕方がないから同意すれば、米山は顔をくしゃっとさせ照れ臭そうに笑った。



米山の「せーのっ」という子どもじみた掛け声を合図に、お互い同時に背を向け合った。



でもそんな約束、守れるはずがない。


だって私は、米山の背中を見送りたいんだから。

一分一秒でも長く、米山を見ていたいんだから。



そうして決行した『振り返る』という裏切り。


でもほぼ同時に、米山もこちらを振り返った。


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