「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
どうして米山は私を抱いたの?
翌日の米山は、いつもと何ら変わりなく。
冷静沈着で、無愛想で、態度もデカい。
ついでに鼻もデカい。
全てがいつも通り。
思い出せば赤面してしまうほどに官能的だった昨夜の出来事は、もしかして夢だったんじゃないだろうか。そんなバカみたいなことすら考えてしまう。
対する私はと言うと――
現在、米山の顔をまともに見られないという深刻な事態に陥っている。
好き過ぎて、意識し過ぎて。
米山の前になると、会話も動作も何もかもが、不自然でぎこちなくなってしまう。
「米山くんたち、お昼、先入って」
5Fの責任者の志賀さんは、いつも米山と私をセットとして扱う。今日もそれがあたかも当然のように、『米山くんたち』と一括りにされ、早休憩をとるよう指示された。