「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「言い過ぎた、ごめん」

そうじゃなくて……。


「仕事のことで感情的になるなんて、俺、どうかしてた」

そうじゃない、米山は何も悪くない。


「お前のことこんなに傷付けて……ほんと、反省してる」

もう、どうしてわからないの? この鈍感ヤロウ!



「違う。米山は悪くない。私が悪いんだから、だから、謝らなくていい」

しゃくり上げながら、必死で声を絞り出して伝えた。



「薬師丸……」

切なげに名を呼ぶ声が頭の中で木霊して、私の心をグラグラ揺さぶった。



ゆるゆると顔を上げて、隣の米山を見た。子どもみたいに、なりふり構わず泣きじゃくっている私はきっと、米山の目にはすごくみっともなく映っていると思う。


でも、ちゃんと米山の目を見て伝えなきゃって思った。今言わなかったら、きっともう永遠に言えない気がした。


「米山……私、努力するから。すぐには直んないと思うけど、これから努力して、少しずつ直していくから。だから――

――――私のこと嫌いにならないで」


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